yasutokuのブログ

自伝・自分史の制作。原稿拝見およびご指導。取材し執筆。

電子書籍のご案内 NO2

初心者の書き方ガイド 画期的自伝表現 最新版: kakitekizidenhiyogen saishiban (教本)

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 ●自分史を書くための超初心者向け書き方ガイドです。
●わたしは自分史相談編集室を開設して28年になります。
●この「教本」は、28年の経験を基に、◇自分史とは何か? ◇書き方は?
 ◇出版とは? ◇出版社の甘言とは? ◇書くための心構えとは? 等 にお答えするものです。
●特に、初めて原稿をお書きになる方は本書内の「復刻版・書き方ガイド」 を実践していただければ必ずいいものが出来る筈です。
●プロフィール
  1968.季刊誌発行や歴史調査・編纂。1970.約五年間新聞記者。1973.文芸庵設立しデザイン執筆開始。1987.熊野文芸に名称変更、本格的に自費出版開業。1988.日本自費出版ネットワーク正会員。文学賞選考委員務める。1994.日本シナリオセンター卒。2005.ISBN取得、絵本全国発売。
主業務、素人原稿書き方指導。リライト、編集、出版。
主な著作…「ベストセラー自伝となった児童図書、ど根性」「足跡」「父の旅」他。編集部門ではベストセラー作品「大台ヶ原開山行者の生涯」他執筆指導など。伝記作家。

●試読

改訂版・横組購読方式画期的自伝表現法


                        この書き方ガイドは
          自分史を作りたい方々への、全く新しい方法てす。
                この教本でお勉強される方は、下記
              巻頭でご案内の自分史見本ともいえる物語
          「ど根性 中岸おさむ土方半生記・よしいふみと作」
              をお読み頂いた上で取り組んで頂ければ
            よりよくご理解いただけることと存じます。
    書く事は考えることで、特に青春期の回想などを繰り返すことで
                    脳回路が活性化されます。
      その意味でも、有意義な人生を過ごすことができるのでは
                        ないでしょうか。
         
  お勉強いただくための教材(書き方見本)として、自分史でベストセラーとなった自伝物語「ど根性 中岸おさむ土方半生記」をご案内しておきます。
電子書籍ですので、ご希望の方は下記販売サイトからダウンロードお買い求めお願いします。
Amazon kindol
◎DLmarket 
  の各サイトにて販売しております。電子書籍価格は1000円です。
※なお、書籍検索は、「よしいふみと」或は書籍名で取り出せます。


それでは、はじめましょう。
下記の一文は、自著ど根性物語の最初部分の「一シーン」です。
 私の書き方は、教本でもご説明しておりますが、幾つものシーンを積み重ねる方法です。
まず、ご覧ください。

●試読

あらぬ疑い

台風の季節がきて雨が多くなった。
 本宮村のまん中を流れる音無川の水かさも、すこしずつ増えてきた。この時期には、川の流れを利用して、山奥から木材を運び出す刈川という作業が多くなる。松一の出番だ。
 その日、朝早く、松一は仕事仲間と一緒に、数週間の予定で山に入った。家には、母もとゑと要、おさむ、祥子、それに公がいた。
 日中に降った雨は、夕方にはあがっていたが、空には一面黒い雲がはりついている。風もなく、爽やかな秋には、につかわしくない、むし暑い空気がただよっていた。
 要は、竈の口で、火を起こす。きのうまで父が座っていた場所だ。おさむは、納屋から薪を抱えてきて、竈の横に置く。妹の祥子は、奥の四畳半で公とあそんでいる。もとゑは、流し元に立って、茶粥の用意をする。それぞれがささやかな、夕げの支度にかかった。
 終戦からまる二年が経って、中岸家の財政もすこしは、もちなおしていた。母の神経痛も発病当初からみれば、かなりよくなっていて、以前のように藁草履作りがぼちぼち出来るようになっていた。
 それに加えて、父松一の仕事もだんだん増え、バクチを止めたこともあって、その分のお金が家計をうるおすようになっていた。だが、約二年にわたり嫌な顔一つせず、掛売をしてくれた請川の食料品店をはじめ、他の店にも借金がたくさん、たまったままだった。その支払いを少しずつすることで、あいかわらず、電灯がつくところまでは程遠かった。
 おさむは二荷めの薪を取りに外に出た。秋の日は暮れるのが早く、眼下の大川が、ほとんど見えない。
 そのとき、庭先に一人の黒い影が、いきおいよく現れた。急いで石段をかけあがってきたのか、荒い息づかいがきこえた。手に懐中電灯を持っている。おさむは、それを見て、村の人ではないな、と思った。村の人は提灯を使っていたからだ。
 黒い人影が足早に近づいてきた。つぎに、その正体が確認できた。
……警察官だ。
「ケイサツ、きたぞ!」
 おさむは、家の中に飛び込んだ。母と要が顔を見合わす。一瞬動きが止った。
「御免!」
 懐中電灯を灯したまま、黒い人影が土間に立った。いままでまったく縁のなかった警察官のおでましだ。
 要はもとより、おさむも、こんなに近くで警官と向い合ったことは初めてだ。祥子も驚いた顔で警官を見つめる。
「中岸もとゑは、おまえか」
 警官は、それほど大声ではないが威厳のある口調で、台所に居る母にいった。
 彼女は大柄で、一見気丈夫そうにみえたが、たいへんな、こわがりだった。それで、いきなり警官が飛び込んできて、自分が名指しされたことで、立っているのがやっとの状態だった。
 もとゑは、声を出すことも忘れて、ちいさく頷いた。
「きのう、川のむこうの畑で、サツマイモが盗まれてな。おまえが盗んどるの見たいう者がおるんじゃ。ちょっと調べるから一緒に来い」
「えっ!」
 もとゑは、はじめて声を発した。自分の意志でいったのではなく、からだ全体からわきおこる、身震いにちかいものだった。反射的におさむは、母の前に立った。要も、土間に下りて、おさむの横に並ぶ。二人して、母を守る体勢をとった。それを見た警官、急に表情をくずして、
「あのなぁ、つまり、あんたに疑いがかかっとるだけなんじゃよ、なっ、わかるか。…本官は逮捕にきたわけじゃないんじゃ。あんたが畑から芋盗みよるのを見たという届出があったから、その真相を調べるのに、ちょっと署まで来てほしいというておるんじゃ。きみたちも、わかるな」
 警官といえども、同じ本宮村の住民で、都会のように高圧的ではない。つとめて職業的にならないように説明する。
「今すぐ、行かな、あかんのかのお」
「うむ、そうしてほしい。一刻もはように事の真相をさぐりたいんでな。あんたも、身に覚えがなかったら、早いとこ疑い晴らしたいじゃろうが」
 気のよわいもとゑではあったが、まったく身におぼえがないだけに、急に怒りがこみあげてきた。
 二人の息子を脇に押しやり、土間の戸口で仁王立ちの警官めがけて、勢いよく五、六歩進んだ。警官は、突然態度が変わったもとゑに、「なんだ」という体勢で身構えた。
「わたしは、……わたしは貧乏しとるけど、他人さまの物盗んだりした覚えないさかのお!」
 そういって精一杯の大声をはりあげた。
「うっ、」
 警官の顔が、きびしい表情に変わった。
「こどもに、聞いてくれんかのお。このところ神経痛わるいさか、遠いところへ行けんの知っとるさかいに」
 警官は、要とおさむを交互に見た。ふたりは同時に首を縦にふった。
「よし、それじゃったら、なおさら来てもらおう。ここじゃ取り調べできんからのぉ」
「だれが、……どこのだれが、わたしが盗んどるの見た、いうんですかいの!」
 もとゑは、警官の言葉を、はねのけるようにいった。
「それも、来ればわかる。とにかく、届出があった以上調べにゃならんのじゃ。支度(したく)してくれ」
「なにを、支度するんかいのお」
 もとゑは、なかばケンカ口調になった。自分でもふしぎなほど度胸がすわった。こうなったら相手は誰であれ、松一と夫婦喧嘩するのと同じだと思った。
「とにかく、ついて来い!」
 警官は、そういって外に出た。
 もとゑは、タスキと頭の手拭をはぎとるようにはずし、くるくる丸めると板間の部屋めがけ投げつけた。それを見た要とおさむが、母のそばに駆け寄る。祥子は家の奥で弟の公をしっかり抱きしめて、かたまっている。時ならぬさわぎに放心していたのだ。もうこれまでかと、心に決めたもとゑは、
「すぐ帰るさか、祥子と公をたのむぞ」
 母はそういって玄関の敷居をまたいだ。またぐとき、神経痛のせいで左足が敷居に引っかかって、あやうく、ころびそうになる。
「母やん!」
 おさむが母の後を追う。要も出てきた。が、何もいわず突っ立っている。
 警官の懐中電灯がゆれて、二つの黒い影が、急な石段をおりて行った。
「だいじょうぶや……すぐ帰ってくる」
 母が見えなくなって、要が、はじめて口をきいた。
「母やん、なにも悪いことしてないもんな。誰が警察にウソいうたんやろ、……どいらい腹立つな、ちくしょう!」

 兄弟四人は、母のいない夕飯を食べた。腹が減っているのに、あまり食えない。腹立たしさと、やり場のない悔しさのためだ。運悪く、松一が泊り山に出かけた日に、よりにもよって、こんなことになった。父を呼びに行くにも道が分からない。「すぐ帰る」といった母の言葉を信じるほか方法がなかった。
 その夜、おさむは、なかなか眠れなかった。

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これが、この「ど根性 中岸おさむ土方半生記」巻頭部分の書出しです。
                          いかがですか?
                          この書出し。

自分史・自費出版のイメージ描写法 

もくじ
画期的自伝表現法
「書き方ガイド復刻版」 
自伝・自費出版の概要と心得
新企画 自伝をマンガ本に
ご質問にお答えして(新聞連載記事より)
あとがき

【画期的自伝表現法】
 
 巻頭の「書出し」は、これまで28年間、素人さんの生原稿を読み続けてきたわたしが、自分史の定型を逸脱した手法つまり、従来の自分史は説明が主だったのに対し、イメージ描写を主とした物語づくりを開発、実験的に書き上げたもの。

●人生は紙芝居のような絵の連続であるという発想。おもちゃのような電子機器が闊歩する現在、その様はあたかも、嘗て手塚治虫氏の漫画に登場するお茶の水博士が摩天楼を仰ぎ見て、「今に、文明が人間を支配する世の中になるぞ」と予言した如くのようだ。

●人間本来の想像力が低下の一途をたどっている。
 あらゆる事象が受身で事足りる世の中になってしまった。
 本来人間は能動的思考回路を備えているものであるが、今は違う。完全とはいわないが、この能動的が受動的に変化してしまった。そのため、イメージ力が極端に低下し数々の弊害が生じている。しかし、これが世の流れというものかも知れない。最早「行間を読む」という言葉さえ死語になってしまった感がある。意識の幼児化現象だ。

 


   あとがき

 人間の限られた命、その時間を如何に過ごすか。これを定義するのは困難を
極める。
 わたしは十代の後半、何故自分というものがこの空間に存在するのか、ということを真剣に考え始めた。
 自分の意志でこの世に居るのではない。気づいたときは既に存在していた。これは一体何か、どうしてなのか……。
 この日を境に現在に至るまで考え続けている。沢山の書物をむさぼり読み、なにかを見付けようとした。
 トルストイは人生論で、存在の秘密でなく、生き方を説いている。「他に寄与せよ」そこに生きる目的がある、という。
 然し、ここにいる自分という一個体についての「存在理由」についての答えはまだ見つからない。
 それは、際限ない宇宙について「その正体」を見付けようとする試みと似ている。考えを深めていくと気が遠くなってしまう。
 どこで解脱するか考え中だ。

   「人生は、 それを歩む者にとっては悲劇であり
            それを考える者にとっては喜劇である」

 ただ一つ、カーライルのこの言葉が、わたしに生きる力を与えてくれる


著者プロフィール

1968.季刊誌発行や歴史調査・編纂。
1970.約五年間新聞記者。
1973.文芸庵設立しデザイン執筆開始。
1987.熊野文芸に名称変更、本格的に自費出版開業。
1988.日本自費出版ネットワーク正会員。文学賞選考委員務める。
1994.日本シナリオセンター卒。
2005.ISBN取得、絵本全国発売。
主業務、素人原稿書き方指導。リライト、編集、出版。
主な著作…「ベストセラー自伝となった児童図書、ど根性」「足跡」「父の旅」他。編集部門ではベストセラー作品「大台ヶ原開山行者の生涯」他執筆指導など。伝記作家。

 


                               
                            自伝教本
                               
                            まほろ
                  画期的自伝表現法
                孫も読んでくれる本づくり
                               
                               
                    平成25年9月10日 初版発行
                  平成27年2月1日 電子書籍出版
                      電子書籍価格 500円
                               
                        著者 よしいふみと
              発行所 山の辺書房かしはら出版編集室
                               
                〒634^005 奈良県橿原市畝傍町41-10
                    電話・電紙 0744-41-6473
                               
              参考文献 「夜の光」志賀直哉著 新潮社刊
                               
              ○C Fumito Yoshii 2015. Printed in Japan
                      ISBN 978-4 902941-0